11時まえに起床。



カフェ・オ・レ飲みながらネット。



『アール・オー』撮影11日目。
先週2日の打ち合わせでオーさんにDATは120分テープでリハの時間分あればOKと訊いたので1日4時間×3日間×2人(オーさんと私)で12本なのだからとりあえず20本買っておけばいいかと行きがけに池袋で購入して京橋へ。
15時集合だったが30分早く着いてしまい事務局のケイさんと転げ落ちるように40になってしまうのかと恐れ戦いているところへ制作のワイさんが来たので40歳になる恐怖ってありますかと訊くと無いと断言しそれより31になるときの方が厭だった加護ちゃんのお父さんは俺より年下で君らもそのうちそうゆう時がくると続けたが制作のワイさんより年下というと実のところ私やケイさんと大して違いない事実に打ちのめされながらDAT代を精算してもらう。
アイさん、ワイくん、ケイくんも集まり制作のワイさんとともに機材を持って東京駅から中央線に乗って西荻窪までいき駅でエムくん、ティーくん、エイチと合流して撮影場所のスタジオに着くと監督のワイさんとオーさんがすでに来ており準備にとりかかる。
オーさんにDATを渡すとレコーダーに入れて早送りをしだしたのでなんでだろうと思っていると買ってきたばかりのテープは巻きがきついので1回最後まで早送りをして最初まで巻き戻して使った方がいい特にデジタルだとちょっとの接触不良でもブロック(でデータが欠落)してしまうからまあヴィデオと同じですと言われ今まで一度たりともそんなことしたことがなかった私はいったい何を学んできたのか今回の撮影では2度目のアイデンティティ・クライシス(1度目は8の字巻きができなかったとき)を覚えながらも自分の分のDATをレコーダーに突っ込んで早送り巻き戻しを始めた。
スタジオが空いたのでドラム・セットを外に出しアップライト・ピアノを部屋の中央部に移動してキャメラのセッティングが始まりエイチさんもやってきてさていよいよだとマイクを取り出してスタンドに据え付けようかとするとそういえばマイクは2台あるキャメラのうち動き回る方に入力するという話だったなと思いどういうふうにしたらよかんべかと話した結果マイクはDATレコーダーをかまさずに直でキャメラに突っ込むことになったのでいきなりすることが無くなりテープの早送り巻き戻しのつづきでもやっておこうと始めたがもしリハ(今週3回、来週2回)がこの録音方式でいくとするとほとんど使わないのではと思い4本やったところでやめておいた。
アイさんキャメラにはワイくんとティーくんがエムくんのキャメラにはエイチがそして助監督にはケイくんがいるのでスタッフとしては充分なので邪魔にならないように存在を希薄化させて撮影に臨む。
2台のキャメラが回りオーさんのレコーダーが回りケイくんのカチンコが鳴る。瞬時に空気が張り詰め当初想像していたリハーサルの雰囲気では全然なく本番かのようにエイチさんの演奏が始まる。どんな風に弾くのだろうと思っていたが指で押された鍵盤がもどる音がッンッカッンッカッンッカッと聞こえたときには思わずおおーと心の中で(希薄化してるから)嘆息を漏らした。いやエイチさんに対してそんなことでおおーとか言ったら失礼かもしれないが「学館の解体」←→「ピアノの解体」と単純な思考回路からするとこの非破壊的な音から始まったのは驚きでしかなかった。まったくもって「解体=破壊」という紋切型に侵されていた私に「解体」とは「可能を使い尽くすことだ」とッンッカッの音の連なりが諭してくれた。



今日のリハーサル 4回。
今日の調律 1回。
今日の労働 機材の搬出・搬入。DATの下拵え4本。ドラム・セットの搬出。カチンコ2回(ケイくんが途中で帰ったため)。演奏の聴取。



寝るまえにハロヴィッツ