『アール・オー』撮影10日目を終え、西部池袋線直通所沢ゆきの有楽町線の車内でこれを打っているわけですが、今朝は心の風邪をめしていた(推測)学生エフくんが自ら志願して先導してくれました。遅刻したけど。
今日の助っ人ケイくんは前回きてくれたときと同様にワイさんと一緒に同伴出勤だったので同棲疑惑が浮上。
とここで駅に着きましたので降ります。

さみい! を合い言葉に集った我らチーム・ワイ。
ワイ棟梁の「本部棟の上のユンボと地上のユンボの両方が動いているところが撮れなかったら明日8時半集合な」という撮休を脅かす第一声にいつにない迅速さで準備にかかる。
私もいまだ慣れないながらも必死に格闘しているとマイクの電池ボックスに9V電池をそっと入れてくれるワイ棟梁。なるほどこのふと見せる優しさにケイくんは籠絡されたのだな。
表に出てみると上のユンボが止まっている……。とまれ下のユンボは動いているのでキャメラを回す。2テイク撮ってホール棟に戻る。
昨日入れなかったバックギャラリーへ。ワイ棟梁がどんどん引っ張り出してくる(あんまり出しすぎて結局は少し戻した)美術に助っ人ケイくんの照明が冴える。さすがラヴ・コンビ。怪しげな空間を捉えていると斥候エフさんから動き出したとの報が。
スタコラと飛び出すと動いてる動いてる。しっかりとキャメラに納める。
ふたたびバックギャラリーに戻り4テイク撮ってもうひとつのバックギャラリーに移動。こちらは先ほどと違い椅子1脚を残 してすべての椅子と机を外に出しての撮影。
そのあとオンリーを録る。壁越しに響いてくる本部棟の取り崩されていく音。
続いてホール調光室と音響調整室。どちらも窓越しにホールを臨むカット。すでに楽器の音出しが始まっていたが両室とも轟々と空調が鳴っていたので送風口にマイクを構えて対処する。目には目を音には音をのハムラビ録音。
バルコニーから本部棟を撮る。すると本部棟を挟んで向こうの校舎の屋上から写真を撮っている人を発見。あそこからなら今までと違う画が撮れる、とぐるーり廻って校舎に向かう。長い年月で滑らかに摩耗した石造りの手摺りの階段を登っていくも屋上へ出るドアはすべて閉ざされていた。残念。
解体作業もそろそろおやつ休憩に入るだろうとここでお昼にする。5人が5人とも贅沢チキンカレーピラフというのもどうかと思うが白飯にルウをかけたものをピラフと言い包めるのはかなり無理があるかと。
学食を出ると重機が動いている。休憩はなかったのか? 屋上に上がってみて驚いた。昨日と比べて半フロア分ぽっかり無くなっている。明らかに以前より作業ペースが早くなっている。さっそく撮影に入る。キャメラが回っ た。よしきたDATも回った。カチンコがカチン!
……あれ? 音が来てない。……慌ててマイクの電源いれ忘れてるよ……。へこんでる暇はないので即座にスウィッチをいれエフさんにケツ・ボールドをお願いして録音を始める。途中テープ交換を挟んで作業終了まで回し続ける。
しかし重機は器用だ。操作している作業員が器用だと言うのが正確なんだろうが如何せん動いている様を見ているとそれが生き物のように思えてきてしまう。最大で4台が同時に稼働するのだがさながら小規模なジュラシック・パークといったところか。
もうひとつ作業の終わり方がアンチ・クライマックスであることもまた面白い。時間的にも多分あそこら辺を崩して終わりかなと思っているとそこまでいきそうになりながらウィーン……ウィーン……と1台づつ止まり運転席から作業員が出てきて足場の階段を降りる足音だけが徐々に小さく遠のいてゆく。
キャット・ウォークでの撮影は音止めのしようがないので録音は無し。これは一見しただけじゃキャット・ウォークとはわかんねえなあというトリッキーなカットを撮って本日は終了。

ということは撮影前半戦の終了ということだ。
とりあえずひとつの山を越したと見るか、ようやく賭場口に立ったと見るか。
ともあれ、おつかれ!