最低週に一度は休眠日

ゆっくり休むってことじゃないですよ。眠るのを休むってことで。身体に心に悪いことこの上ないですが。
お薬飲んで、灯りを落として、お蒲団入って、文庫本なんかつらつら読みながら、入眠体制は完璧かと思われたんですが、まあそんな日もあらあなってことで。

で、http://d.hatena.ne.jp/gashow/20040228のMotokoushiさんの「ところでgashowくんが世界の名作をリメイクするとしたら何にしますか?」の問いについて考え始めて、ガス版『サイコ』的スタンスというか、なぞりたい、模写したいってなると、まず一等最初に上がってくるのがルノワールの『ピクニック』なわけです。
といっても、頭からケツまで全部というわけじゃなくて、あるワン・カットだけ、そのワン・カットの力をそのまま再現できたら、俺ぁあとどうなってもかまわねぇ、なんだったら余生はヒキコモリでもOKって腹ぁくくる覚悟はできてるんだって、それじゃあ現状維持と変らねぇじゃねえかってんで、それはひとまず置いとこうと。

しかし『大砂塵』に負けないようなものとなると……、とここら辺から何故か「勝ち負け」といういやらしい判断基準(自意識)が芽生えてくる始末。いかんいかん、無心に無心に。すると、ふと『殺しのダンディー』が浮かんできた。そういやなんか変な映画だったよなあ。けっこう好きだったんだよなあ。そう思ったらなにはともあれテープを探し出して、ヴィデオ・デッキにガションッ。

英国諜報部に侵入してるソ連の二重スパイが、故国に帰ろうとするのだけれど、越えに越えられぬベルリンの関ってお話なんだが、早い。始まってしばらくなにがどうなって、誰が味方で誰が敵なんだか掴めない。こちらの頭が半ボケってことをさっ引いても、早い。そしてズームが早い。しかも親の仇といわんばかりに繰り出す。こちらの映画に対するパースが狂わされっぱなし。

狂った勢いで調子にのって、字幕がないんで後回しにしていた『Detour』のDVDも回し出す。
ほんとに「Beautifully restored from the original 35mm nitrate masters」かよって画質だったけれど、それはともかくなんなんだこれは。人が二人死ぬのだがその死に方が「えっ!?」と唖然とするばかり。しかもメインの女優が出番の十中八九はキレてひたすら捲し立ててるし。
(あとであらすじを読んで、なんでいきなりキレたのかわかって、また唖然)

パンチ・ドランク気味に、やっぱノワールだよ、ノワール〜♪ と鼻歌まじりに浮かれながらも、でも映画学校出がノワールとかに手を出すと得てしてこぢんまり纏まっちゃったりするんだよなあ、とふたつに引き裂かれた私の脚がもつれて、よろめいたところをグッと足を踏み出して堪えたとき、ああ思い出した。あの紅茶に浸したマドレ二年前だかに立ち上げようとして、つかまり立ちもしないうちに消えてしまった企画のときに考えていたことを。

というわけで、Motokoushiさん。
えらいまわり道をしましたが、私は『東京暗黒街・竹の家』、国辱ノワールでいきます。